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男性の勃起機能の低下のことをED(Erectile Dysfunction)勃起不全といいます。
性交時、陰茎(ペニス)の充分な勃起が得られないため、あるいは充分な勃起を維持することができないため、満足な性交が行えない状態(勃起機能障害、勃起障害)とされています。
性的な興奮を覚えても勃起しない、勃起はするが硬さが不充分である、勃起した状態を維持できない(長続きしない)などの状態がED勃起不全になります。また、たまに勃起しない、勃起できるかどうか不安になる等の場合も対象になります。
ED勃起不全の中度では、時々勃起・性交中の勃起は維持可能。重度では、勃起しないので性交が不可能。
この、中度と重度を合わせると日本の成人男性4人に１人がEDといわれています。中度以上のEDの悩みを抱える男性は、加齢に伴い多くなる傾向があります。50歳代で2.5人に1人、60歳代で1.7人に1人の割合といわれています。
ストレスの多い現在では、若年層(20歳代)にもED勃起不全の悩みを持つ男性が多く見られるようになってきました。

勃起の起こる仕組みは、まず、性的興奮が神経を介して陰茎に伝わり、陰茎海綿体の動脈が拡がります。
動脈が広がると血液が陰茎海綿体に充分に送られます。この状態を勃起といいます。
血液と神経のどちらかが、または、両方が正常な働きをしなくなると陰茎海綿体に充分な血液が流れ込まず、従って充分な勃起が起こらなくなってしまいます。
この状態ED勃起不全といいます。
EDは、大きく分けて器質的障害と機能(心因)的障害の2つの原因があるといわれています。器質的障害では、勃起に関わる組織・神経・血管・内分泌などの問題や陰茎自体の異常や障害があげられます。 器質性のEDは50歳代以上に多く見られ、加齢と伴に増加していきます。
特に動脈硬化(血管が硬くなる)などで血管が充分に拡がらなくなると、陰茎海綿体にも充分な血液が流れ込まなくなり勃起不全が起こります。
また、生活習慣病(高血圧・高脂血症・糖尿病など)でも血管に大きな負担がかかるため、動脈硬化を引き起こしていることがあります。その場合にも勃起不全が起こりやすくなります。
喫煙や過度の飲酒でも、同様の理由で勃起不全が起こりやすくなります。 神経が原因の場合としては、脳出血、脳の外傷、アルツハイマー病、パーキンソン病などがあげられます。
また、陰茎海綿体に血管や神経の損傷がある場合や、一部の泌尿器系病気などで勃起不全が起こりやすくなります。
機能(心因)性のEDでは、何らかの心理的要因などが原因で満足な勃起ができない状態になります。つまり、精神的なストレスのために性的興奮が陰茎にうまく伝わらなくなり勃起不全が起こりやすくなります。心因性の原因は、仕事や夫婦関係などのストレス、たまたま性交渉がうまく行えなかったトラウマやプレッシャーなどがあげられます。
機能(心因)性のEDは年代を問わずみられ、精神的なストレスや性行為に 対する自信喪失が起因しているといわれています。
この他に、薬剤性のEDがあります。
一部の薬剤(中枢神経系に作用する薬剤・末梢神経系に作用する薬剤・循環器系に作用する薬剤・消化管に作用する薬剤など)の使用が原因となる場合があるため、医師の診断を受ける必要があります。

ED治療には、勃起障害の原因によりますが、陰茎の血管手術による治療法、陰茎にプロテ－ゼを挿入手術による治療法、陰茎に薬剤を注射する治療法などがあります。
なかでも経口薬によるED治療は、日本で1999年に経口薬治療が開始されて以来、一般的で身近なものになりました。

バイアグラの登場により経口薬によるＥＤ治療は、広く認知されるようになりました。それとともに、正規品ではない薬剤や個人輸入品などによる健康被害も報告されるようになってきました。
バイアグラに続いてレビトラ、シアリスの治療薬が登場し、この3内服薬は厚生労働省が承認をおこないました。
ED治療薬は、医師の診察と処方箋が必要です。健康状態、他の治療薬との併用や副作用などを診断の上、安全で効果的な服用をおすすめします。